#132 映画「パーフェクトデイズ」ネタバレ感想編:つまらない面白くない派と割と好き派が互いの意見をぶつけてみる
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*警告:映画に対して好意的でない発言もありますので映画「パーフェクトデイズ」のファンの方はその点十分ご注意ください*
映画好きの2人が映画「パーフェクトデイズ」をみた感想を話しています。
目次
目次とチャプター
- 0:00 あらすじと受賞歴
- 3:20 匹夫(ひっぷ)も志を奪うべからず
- 5:30 出てくる要素は好きだけど…
- 7:05 海外の目線
- 8:55 テーマの「影」と「木漏れ日」の意味
- 10:30 類似作品としての「アバウトタイム」と「アフロ田中」
- 13:15 トイレ清掃員の職人映画
- 15:00 これは東京じゃないTOKYOだ!
- 17:00 旅行映画として秀逸
- 18:20 仕事の上澄みを掬(すく)うな
- 20:00 平山というキャラクター
- 22:00 野生の哲学者とハーレム
- 24:40 ラストはまさかのホラー映画?
- 27:00 人の怒りでその人がわかる
- 29:25 平山が笑顔を見せる瞬間
動画要約
映画好きの2人が最近見た映画「パーフェクト」について議論しています。映画の設定やストーリー展開、主人公の性格設定等についての意見交換が行われています。
参加者の一人はこの映画が気に入らなかった理由として、東京の美化や主人公の設定の薄さをあげています。もう一人の参加者は音楽や映像のクオリティは高かったと評価しつつ、東京の描写が理想化されすぎている点は同意見です。
両者とも、主人公の設定にある種の違和感を覚えたとしています。また、この映画のターゲット世代についても意見が分かれています。
最近見た映画「パーフェクトデイズ」概要
この映画は渋谷のトイレ清掃員を主人公にしたドラマ映画で、主人公の日常生活と心情が描かれています。参加者の意見は分かれており、映画のストーリーや主人公設定に違和感を覚える人と、音楽や映像のクオリティは高く評価できるとする人がいます。
映画の評価の分かれるポイント
この映画に違和感を覚えた参加者は、東京が美化されすぎている点と、主人公の性格設定の薄さをあげています。もう一人は音楽と映像のクオリティは高いと評価しつつも、東京の描写が理想化されすぎている点では同意見です。
主人公の設定への違和感
参加者はいずれも、主人公の性格設定にある種の違和感を覚えたとしています。
当初は哲学者的な人物と思われたが、後半の展開では俗っぽさが感じられたという指摘があります。また、主人公を取り巻く人物設定にも違和感があるとの意見が出ています。
ターゲット世代についての意見の相違
この映画のターゲットとなる世代について、参加者の意見が分かれています。一人は50代以上を想定しているとし、もう一人は自分が見た劇場では若者が多かったとしています。
映画「パーフェクトデイズ」の魅力
「パーフェクトデイズ」は、平凡な日常が奇跡的な出来事によって揺さぶられる男性の物語である。渋谷のトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、日々を同じように過ごしているが、その日々は決して同じではない。彼の内面には、孤独や失望が渦巻いているように見えるが、彼は美しい木漏れ日や日々の些細な喜びを見つけて生きている。
映画は、説明セリフが少なく、その代わりに映像と演技で物語を語る。役所広司さんの静かな演技は、平山の内面の複雑さを表現しており、観客に深い感情を呼び起こす。
一方で、作品にはいくつかの批判も存在する。世界観がファンタジーすぎると感じる人もいるかもしれないし、平山というキャラクターが掴みきれないと感じる人もいるだろう。また、女性関係や彼の仕事に関する描写が薄いという指摘もある。
しかし、この映画には解釈の余地がある。平山が自らの現実から逃避し、理想的な世界を創造している可能性もある。彼の孤独や失望が、彼の妄想の中で表現されているのかもしれない。
美しい東京の風景や役所広司さんの素晴らしい演技は、この映画の魅力的な要素の一部である。
この作品は人によって評価が分かれるかもしれない。一部の観客には物足りなさを感じるかもしれないが、独特な世界観に浸りたい人にとっては価値のある作品だろう。
「パーフェクトデイズ」は、現実と夢の狭間で揺れ動く男性の心の葛藤を描いた作品であり、観客にさまざまな考えさせる素材を提供してくれる。
何より、最近サントラをヘビロテしている。
劇中で平山が聞いていた音楽曲
劇中に登場した曲の中から、特に強烈な何度も聞きたい返したくなる象徴的な3曲ピックアップします。
公式音源がYoutubeにあれば貼り付けておきます。
まずは、タイトルと同じ曲名「パーフェクト・デイ」(Perfect Day)。1972年のルー・リードの曲。
次に、冒頭から劇中何度も登場するのは「House of the rising Sun」。
飲み屋の女将(石川さゆり)が同じ曲の翻訳版「朝日のあたる家」を歌うシーンも強烈でした。
最後に、映画終盤の長回しシーンで流れている曲。
ニーナ・シモンの「feeling good」
映画史に残りそうな素晴らしいシーンでした。
劇中で平山が読んでいた文庫本
劇中平山が読んでいた本を3冊紹介します。版が異なるのもありますが、ご了承ください。
1冊目は「野生の棕櫚」
棕櫚は「シェロ」と呼び、ヤシの木の一種。木々を愛する平山らしいタイトルです。
【公式紹介文】
『野生の棕櫚』(やせいのしゅろ、原題:The Wild Palms )は、アメリカ合衆国の小説家ウィリアム・フォークナーの南部ゴシック小説である。
1939年に発表された。二つの物語が交錯する二重小説で、ひとつは医師である中産階級の白人男女が不倫、妊娠、堕胎のすえ、悲劇的な結末を迎える話が語られ、もうひとつは囚人である貧しい南部人が洪水に巻き込まれ、妊婦を救い、出産を助け生還する話が語られる。
「悲しみ(grief)と虚無(nothing)しかないのだとしたら、ぼくは悲しみのほうを取ろう。」
1937年:人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」)
1927年:ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」)
二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。
2冊目は幸田文の「木」
読んだことはなかったですが、幸田文の父は幸田露伴。
「五重塔」や「運命」で知られる明治の大文豪で、同級生の正岡子規が強い憧れを持っていたことでも有名です。
【公式紹介文】
木々草花を愛(め)でる心こそ、財産である
樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産――。父露伴のそんな思いから著者は樹木とともに育てられた。そして木々をいつくしみ、愛でることのできる感受性を持つ大人へと成長した。
著者が娘を持つようになったとき、この娘の周囲に木々草花の存在はなくなっていた。露伴は著者に、子を連れて植木市にいき、そこで彼女の気に入ったものを買い与えよと小銭入れを渡した。果たして子は、市で一番高価で立派な鉢植えの藤を選んだ。父露伴から預かった小銭ではとても贖えるものではなかった。次に選んだものは山椒の木だった。
山椒の木をもって帰宅すると、事情を知った父露伴はみるみる不機嫌になった……。
「多少値の張る買物であったにせよ、その藤を子の心の養いにしてやろうと、なぜ思わないのか、その藤をきっかけに、どの花をもいとおしむことを教えてやれば、それはこの子一生の心のうるおい、女一代の目の楽しみにもなろう、もしまたもっと深い機縁があれば、子供は藤から蔦へ、蔦からもみじへ、松へ杉へと関心の芽を伸ばさないとはかぎらない、そうなればそれはもう、その子が財産をもったも同じこと、これ以上の価値はない(略)」
3つ目はパトリシア ハイスミスの「11の物語」
劇中言及されるのは「すっぽん」という話で、支配的な母親と暮らす少年が、食用に買ってきたすっぽんをきっかけに爆発してしまう物語です。
【収録短編】
かたつむり観察者/恋盗人/すっぽん/モビールに艦隊が入港したとき/クレイヴァリング教授の新発見/愛の叫び/アフトン夫人の優雅な生活/ヒロイン/もうひとつの橋/野蛮人たち/からっぽの巣箱
【公式紹介文】
動物学教授のクレイヴァリングはひとり南海の孤島へ船出した。伝説の巨大かたつむりを見つけ、歴史に名を残そうというのだ。だが運よく発見には成功したものの、船が流され、彼は島でたったひとりに…。
孤立無援の男を襲う異常な恐怖を描く「クレイヴァリング教授の新発見」他、人間心理の歪みが生みだす恐怖と悪夢に彩られたサスペンスの鬼才の傑作短篇集。
【著者情報】
ハイスミス・パトリシア(Highsmith,Patricia)
1921年テキサス州フォート・ワース生まれ。父はドイツ系、母はスコットランド系だった。ニューヨークで育ち、バーナード・カレッジを卒業。1945年に雑誌に発表した「ヒロイン」で作家デビュー。1950年の『見知らぬ乗客』、1955年の『太陽がいっぱい(リプリー)』がいずれも映画化されたことで人気作家となった。『太陽がいっぱい』でフランス推理小説大賞を、『殺意の迷宮』(1964年)で英国推理作家協会(CWA)賞を受賞している。生涯の大半をヨーロッパで過ごし、晩年はスイスの山中に暮らしていた。1995年死去
映画の影響でしょうか、オンラインで販売しているショップを見つけることができませんでした...!
プラスαの関連書籍として、switchでパーフェクトデイズの特集が組まれました。
まだ買えるいたいなので、絶版になる前にどうぞ!
類似作品としての「アバウトタイム」と「アフロ田中」
冒頭の動画内でも触れていますが、パーフェクトデイズが好きなひとは、「アバウトタイム」と「マイホーム アフロ田中 第24話」も好きだと思います。
日々に喜びを感じる系譜の作品としてオススメいたします。