#88 映画「怪物」ネタバレ感想編:怪物の正体について考察しながらラストの結末を解説

最近話題の映画「怪物」を観てきました。上映中はあいにくの大雨で、映画館までの道のりも一苦労でしたが、その甲斐あって見応えのある作品に出会えました。

今回は、映画「怪物」のネタバレ感想を交えながら、怪物の正体について考察し、ラストの結末を解説していきます。

6分頃からネタバレありで感想を話しますので、ご注意ください!

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映画基本情報

・主要キャスト
安藤サクラ
永山瑛太
黒川想矢
柊木陽太
高畑充希
角田晃広
中村獅童
田中裕子

・製作スタッフ&プロダクション
監督・編集:是枝裕和
脚本:坂元裕二
音楽:坂本龍一
企画・プロデュース:川村元気、山田兼司
製作:東宝、フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.、分福
配給:東宝、ギャガ
制作プロダクション:AOI Pro.

初見の感想:巧みに描かれた難しいテーマ

映画を観終わった直後の率直な感想は「素晴らしい映画だった」ということです。非常に難しいテーマを、見事な技術で描いている点に感嘆しました。この作品は、単なる娯楽映画ではなく、深いメッセージを含んだ名作だと感じました。

匂わせる演出と実在感

物語の進行中、多くの予兆が感じられ、それがテーマや展開を匂わせていました。はっきりとした答えを提示せず、観客に想像させるような巧妙な演出が光りました。

また、登場人物の演技も素晴らしく、特に安藤サクラさんが演じる母親や子役たちのリアルな演技には圧倒されました。本当に実在する人々のように感じられ、物語への没入感を高めてくれました。

ネタバレ感想編:怪物とは何だったのか?

ここからはネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください。

母親視点:学校と家庭の狭間で

物語は、安藤サクラさん演じる母親の視点から始まります。息子が学校でいじめを受けている疑惑が浮上し、さらにそのいじめが担任の先生からのものである可能性が示唆されます。

母親は学校に相談に行くものの、学校側は誠意のない対応を繰り返し、息子はどんどん荒れていきます。嵐の日に息子が突然いなくなるまで、母親は不安と苛立ちを募らせるばかりです。

このパートでは、母親にとっての怪物は、学校や担任の先生、そして理解しきれない息子自身だったのかもしれません。

担任の先生視点:不可解な追い詰め

次に、担任の先生の視点に移ります。彼は一見して普通の青年であり、生徒思いの良い先生です。しかし、母親からのやっかみや学校内での誤解から、どんどん立場が悪化していきます。

最終的には辞職に追い込まれ、恋人にも振られ、マスコミに追われる身となります。この視点では、校長や母親、そして誤解を生む生徒たちが彼にとっての怪物に映ります。

子供視点:隠された真実

最後に子供たちの視点が描かれます。ここで明かされるのは、じゃんけん小僧が性的マイノリティであり、そのことが父親(中村獅童)に理解されず、苛立ちと悲しみを抱えていたことです。

また、"舘ひろし"演じる友人もそのことを知り、葛藤を抱えていました。これが彼らの間で誤解といじめを生む原因となっていたのです。

"じゃんけん小僧"にとっての怪物は、自分を理解しない父親や、社会の偏見、そして自分自身の正体に対する恐怖だったのでしょう。

結末の解説:怪物の正体

映画の結末では、怪物の正体が明かされます。それは、単純な悪意や敵ではなく、理解されないことや、誤解によって生まれる断絶だったのです。誰もが誰かにとっての怪物であり、逆に言えば、誰もが他者の理解を必要としているというメッセージが込められていました。

劇中で行われた「怪物ゲーム」は、このテーマを象徴しています。自分のことは自分ではわからない。他者からの視点や言葉が、自分の正体を教えてくれるのです。

だからこそ、理解し合うことの大切さが強調されていました。

誰におすすめ?

この映画は、中学生以上の全ての人におすすめです。カンヌ映画祭で脚本賞を受賞しただけあって、脚本の巧妙さも見どころの一つです。観終わった後も、何度も思い返し、考察する価値のある作品です。

映画「怪物」は、観る人それぞれに異なる感想を抱かせる作品です。まだ観ていない方は、ぜひご覧になってく



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