#89 浅倉秋成原作 小説「六人の嘘つきな大学生」ネタバレ感想編:芸人を目指す高校生の青春マンガ「ショーハショーテン!」の話をしようと思ったら映画化されるサスペンス小説を絶賛することになった回
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こんにちは!今回は、浅倉秋成先生の小説『六人の嘘つきな大学生』について語る記事です。
当初は浅倉先生が手掛けるお笑い青春マンガ『ショーハショーテン!』を紹介しようと思っていたのですが、映画化もされているこのサスペンス小説に夢中になり、気づけばその話にシフトしてしまいました。
それでは、『六人の嘘つきな大学生』のネタバレ感想編、始めます!
目次
「6人の嘘つきな大学生」映画化決定
追記:六人の嘘つくな大学生は映画化が決まりました。
公開予定日は2024年11月22日です。
まずは、「六人の嘘つきな大学生」から話を進めていきます。
「六人の嘘つきな大学生」
その魅力についていくつかポイントを挙げてみます。
引きの強さとテンポ
この小説は、就職活動の最終選考に残った6人の大学生たちが、自分たちの中から1人を選ばなければならないという設定から始まります。まさに「デスゲーム」のような展開で、それぞれの秘密が暴かれ、仲間たちの裏の顔が明らかになっていくサスペンスです。
読み始めたら止まらない、この小説の引きの強さは久しぶりに感じたものです。
物語はテンポ良く進み、一度ページを開いたら、次々と展開するストーリーに引き込まれてしまいます。
就活とミステリーの相性
就活という特殊な環境を舞台にしたミステリーが非常に新鮮で面白いです。
就活という場面は、非日常的なシチュエーションを許容する独特な環境であり、どんな奇妙な設定でも「就活ならあり得るかも」と思わせる説得力があります。
伏線とサプライズ
驚かされたのは、物語の途中で一度「犯人」が明かされる点です。「え、もう犯人が分かったの?」と思いきや、後半でその犯人視点の物語が始まり、さらに驚きの展開が続きます。
サスペンスが二重、三重に仕掛けられていて、読者をどんどん引き込んでいく構成には脱帽です。こうした「ひねり」のある展開は、本当に面白く、最後まで飽きることなく楽しめます。
この緻密な構成が読者を飽きさせないポイントです。
SNSや就活といった現代の普遍的なテーマを取り上げ、それにミステリーを絡める手法が非常に上手く、読者を惹きつけます。
また、各章に挟まれるインタビュー形式の回顧録も物語に深みを与えています。
浅倉秋成の作品の共通点
ここで少し、浅倉先生の他の作品にも触れてみたいと思います。例えば、ネット炎上をテーマにした『俺ではない炎上』も同様に、非常にキャッチーな題材を扱っています。SNSや就活といった現代ならではのテーマを通じて、人間関係や社会の圧力を描くのが浅倉作品の特徴の一つです。
また、ストーリーテリングの巧妙さも共通しています。『六人の嘘つきな大学生』では、登場人物のインタビュー形式の回顧録が随所に挟まれていて、ストーリーに緊張感を持たせながらも、伏線を丁寧に張っていくスタイルが印象的です。この手法は、『俺ではない炎上』でも同様で、物語の展開に対する世間の反応がSNSの投稿として描かれるなど、現実感を持たせつつ、物語を深めていく手法が見事です。
浅倉秋成の作品の魅力についてまとめておきます。まずは、身近なテーマ(就活、SNS)を使って、日常的な環境を非日常的なサスペンスに変えるストーリーテリングの巧さ。そして、複雑な人物関係や心理描写を巧みに絡めた展開が読者を飽きさせません。
特に『六人の嘘つきな大学生』では、犯人が途中で明かされる大胆な構成や、そこからのどんでん返しが物語の緊張感を一気に高めています。おそらく、このサスペンスフルな展開とキャッチーな題材が、多くの読者を惹きつけ、Amazonレビューでも高評価を集めている理由でしょう。
お笑い青春マンガ『ショーハショーテン!』
さて、本来の予定だった『ショーハショーテン!』ですが、こちらはまだ読み途中。簡単に触れておくと、お笑いを目指す高校生たちの青春物語で、漫才やコントを通じて友情や夢を描くストーリーです。
お笑い理論
特に目を引くのは、笑いを理論的に解説している点。「どの範囲の人に向けた笑いなのか?」といった「笑いの舎弟理論」などが登場し、笑いの構造を考えながら物語が進んでいくのが新鮮で面白いです。
例えば、特定のグループだけを狙った「内輪ネタ」なども理論的に展開されていて、笑いがいかに人間関係や状況によって成り立つのかを丁寧に描いています。これにより、単なるお笑いマンガではなく、お笑いそのものを深く探究する作品になっています。
キャラクターデザイン
小畑健先生の手がけるキャラクターデザインも秀逸です。各キャラクターが独自の個性を持ち、その個性が芸人としてのキャラクターにも反映されています。漫画というメディアであることを活かし、視覚的にも楽しめる工夫がされています。
ストーリーテリング
浅倉秋成先生のストーリーテリングの巧さも健在です。物語の進行やキャラクターの成長、笑いの要素などがバランスよく配置されており、読者を飽きさせません。
リアルな描写
実際のお笑い業界のリアルな描写が多く、浅倉先生自身の経験が反映されていることが感じられます。これにより、物語に深みが増し、読者はより一層キャラクターに共感できます。
6人の嘘つきな大学生は漫画版もあるよ
というわけで、今回は浅倉秋成先生の『六人の嘘つきな大学生』の感想を中心にお送りしました。
浅倉秋成先生の作品は、その緻密なプロットとキャッチーなテーマ選びが光ります。「六人の嘘つきな大学生」は就活という特殊な環境を巧みに利用したミステリーで、「ショーハショーテン!」はお笑いというテーマを深く掘り下げた青春物語です。
どちらの作品も、読者を引き込む力が強く、一度読み始めたら止まらない魅力があります。皆さんもぜひ、浅倉秋成先生の作品に触れてみてください。
小説が苦手な方は、漫画版もあります。併せてお楽しみください🙌
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