#196 映画「入国審査」ネタバレ感想編:観客評価爆高77分ヒューマン映画のあらすじを見て結末を予想した結果!まぁまぁ合ってた
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皆さん、こんにちは。本日は映画『入国審査』についてお話しします。

あらすじと予告編
この作品は海外でも非常に評価が高く、映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」ではほぼ満点に近いスコアを獲得しています。
まずはあらすじをご紹介しましょう。
スペイン・バルセロナから、新天地での幸せな生活を夢見てニューヨークへ渡ったカップル、ディエゴとエレナ。
エレナはグリーンカード抽選に当選し、事実婚のパートナーであるディエゴと共に渡米する。
しかし入国審査で職員に呼び止められ、別室に連行される。容赦のない尋問が続く中、エレナはディエゴに対して疑念を抱き始める──。
グリーンカード抽選について
作中にも登場する「グリーンカード抽選制度」は実在の制度です。実は私も過去5年間、毎年応募しています。
この制度は「機会の平等」という理念に基づいており、アメリカ政府の公式サイトから誰でも無料で申し込めます。パスポート番号や学歴、犯罪歴の有無、写真などを提出すれば、10〜15分で完了。宝くじ感覚で挑戦できるんです。
当選確率は日本人の場合およそ1%程度といわれていますが、実際に当選して移住した知人も何人かいます。グリーンカードを得れば、アメリカ国民とほぼ同等の権利が保障され、就労・永住が可能になります。
映画の予想と感想(※ここからネタバレを含みます)
あらすじを読んだ段階では、私は「二人のどちらかが大きな秘密を抱えているのでは」と予想していました。予告編でも麻薬取引を思わせる描写や、グリーンカード申請歴をめぐる食い違いが示唆され、サスペンス色を強く感じたからです。
しかし、実際に観てみると派手な犯罪劇ではなく、むしろリアルな人間ドラマでした。
冒頭はラジオから流れるトランプ大統領のニュース。空港に向かうタクシーのシーンから物語は始まります。ニューヨーク到着後、二人は地下の尋問室へ。観客も理由が分からないまま、緊張感が高まっていきます。
尋問官は、感情を見せない女性と、親しげだが意地悪な男性という対照的な二人組。彼らは夫婦関係を徹底的に揺さぶり、答えの矛盾を突いていきます。特に「元婚約者」についての質問で、二人の答えが食い違うシーンは印象的でした。観客の前で信頼関係が崩壊していくのです。
やがて尋問官はエレナに「彼はビザのために君と結婚した。君だけなら入国を許可する」と揺さぶりをかけます。
結末と見どころ(※核心的なネタバレを含みます)
クライマックスでは、二人が待合室で再会しますが、互いに距離を取り、信頼は完全に失われています。
ところが意外にも、最終的には二人とも入国を許可されます。
明るい音楽とともにエンドロールが流れますが、それは「夢が叶ったハッピーエンド」ではなく、「二人の関係は壊れたまま」という皮肉な結末。観客に重い余韻を残します。
私が感じたこと
この映画を観ながら、日本のパスポート取得率が2割以下と低いことを思い出しました。海外移住が身近でない日本にいると「なぜ国を離れるのか」と思いがちですが、国が崩壊しつつある状況にあれば、未来を求めて移住せざるを得ない切実さがあるのだと痛感させられました。
この作品は「男女の破局」を描いたラブストーリーであると同時に、「国籍や未来をどう選ぶか」という社会派ドラマでもあります。77分という短さの中で、人間の葛藤と尋問の心理戦が凝縮されていました。
最後に
フライト中に観るのはあまりおすすめしませんが、配信などで観る場合は少し音量を上げると、より臨場感を味わえると思います。