#202 ウェス・アンダーソン2025「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」ネタバレ感想編:分かりやすくてとっつきやすい爽やかファミリーコメディの傑作!

「ウェス・アンダーソン作品は気難しい」と思っている方に朗報です!

監督の最新作『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』は、監督特有の美学はそのままに、「とっつきやすくて爽やか」な鑑賞後感を残す、心温まるファミリーコメディでした!

前作『アステロイド・シティ』から約2年ぶりの公開となった本作について、作品の魅力やネタバレ感想をご紹介します。

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映画のあらすじ:富豪と修道女の父娘がフェニキアを巡る旅へ

物語の舞台は、複数の都市国家からなる架空の大独立国「フェニキア」6度もの暗殺未遂から生き延びてきたヨーロッパの大富豪ザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)は、フェニキア全域のインフラを整備する大規模プロジェクト「フェニキア計画」の実現を目指していました。

しかし、妨害行為によりプロジェクトが危機に瀕し、資金難に陥ります。ザ・ザ・コルダは長年疎遠だった娘で、修道女のリーズ(ミア・スレアプレトン)を後継者に指名し、資金調達と計画推進、そしてリーズの母の死の真相を追う旅へと連れ出します。

この旅は、単なるロードムービーではなく、ゲームのチャプターのように場面が切り替わる独特な構成で展開されます。


予想を裏切る「万人向け」な面白さと鑑賞後の心地よさ

ウェス・アンダーソン作品といえば、狂気的なシンメトリーの映像美や、オフビートなユーモアが持ち味ですが、本作はファンでなくとも楽しめる「万人向け」の魅力に満ちています。

難解さの少なさとコメディ要素

前作『アステロイド・シティ』のような難解さが少なく、物語の軸である「何のために、何をしているのか」がブレないため、非常に分かりやすいと評判です。 コメディとしても秀逸で、オフビートなユーモアが心地よい笑いを誘います。ただし、バイオレンス描写もあり、冒頭から人が派手に爆破されるという、ウェス・アンダーソンらしい唐突な掴みもあります。

鑑賞後は「爽やか」で温かい気持ちに

本作最大の魅力は、その「爽やか」な鑑賞後感です。物語は、精神的に離れていた大富豪の父ザ・ザ・コルダと修道女の娘リーズが、旅を通して関係を修復していくファミリードラマです。おしゃれで面白い時間の中に、「温かい気持ちが自分に残る」と表現されるような、心に響くテーマが描かれています。


【核心ネタバレ】父と娘が手にした「お金では買えない富」

ここからは物語の核心に触れるネタバレを含みます。

全財産を失い、たどり着いた結末

旅の過程で、ザ・ザ・コルダは妨害行為による資金難からほとんどの財産を失います。物語の結末で、元大富豪の父と娘がたどり着いたのは、町の中の小さなレストランを二人で経営する生活でした。

ラストシーンでは、かつて豪奢な生活を送っていたザ・ザ・コルダが汚れたエプロン姿で皿洗いをし、リーズがウェイターとして働いています。閉店後、二人はお酒を飲みながら無言でトランプをする――。このシーンはめっちゃいいです。お金では買えない大切なもの、ささやかな家族の絆を手に入れたという、スタイリッシュで温かい結末が描かれます。

周りを固める魅力的なキャラクターと秘密

  • 裏切り者: ザ・ザ・コルダの家庭教師ビョルンは、実はザ・ザ・コルダの計画を妨害するために送り込まれた産業スパイでした。
  • リーズの破門: 修道院のビッグマザーは、リーズに「君は外の世界が似合っている」と優しく告げ、修道院から追い出します。
  • 大ボス: 陰で全てを操っていた悪玉の大ボスは、ザ・ザ・コルダのいとこのヌバルおじさん(演:ベネディクト・カンバーバッチ)でした。

ウェス・アンダーソン監督作への「入口」として最適

ウェス・アンダーソン監督の作品は、その美学ゆえに敷居が高いと感じる方も多いかもしれません。しかし、『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』は、監督特有のシンメトリーな映像美オフビートなリズムは健在ながらも、物語のテーマが非常に分かりやすく、「だいぶ入口を低くしてくれた」と感じられる作品です。

映画館で、あるいは配信で、ちょっと時間が空いたときに見るのにちょうどいいサイズ感とも評されており、この秋、ぜひ一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。ウェス・アンダーソン作品の鑑賞後特有の「リズムが残る」心地よさを、ぜひ体験してみてください。

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