#137 映画「落下の解剖学」ネタバレ感想編:取るならアカデミー賞脚本賞?!犯人がわかっても作品の良さは変わらない!

皆さんこんにちは!本日もよろしくお願いします。今回は、フランスの法廷スリラー映画『落下の解剖学』についてネタバレありの感想をお届けします。映画の魅力をたっぷり語るので、まだ観ていない方はご注意ください!

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作品概要とあらすじ

まず、簡単にあらすじをおさらいします。舞台は雪深いフランスの山荘。ドイツ人作家の妻サンドラが、夫の謎の転落死で殺人容疑をかけられ逮捕されます。法廷では彼女と夫の確執が明らかになり、争いの証言が次々と飛び出します。唯一の証人は、現場にいた盲目の息子。果たして彼女は無実を証明できるのでしょうか?

法廷劇の魅力

この映画、最初は「法医学的なサスペンスかな?」と期待していたのですが、実際は法廷劇の色が強く、会話劇の妙味が光ります。フランス語の原題からも推察できる通り、科学的な捜査に重点を置いた作品ではなく、あくまで人間関係や心理的な駆け引きがメインです。

特に法廷劇が好きな人にはたまらない展開が続きます。最近の作品で言うと『1Kのカラス』や、少し前の『HERO』のような法廷シーンが好きな方なら楽しめるはず。ただし、名探偵が謎を解くような“痛快ミステリー”を期待している方には、やや物足りないかもしれません。

観客が「傍聴人」になる映画

この映画は視聴者を裁判の「傍聴人」として巻き込む手法が特徴的です。カメラワークもリアルな裁判傍聴を体験しているような視点で進行し、ドキュメンタリーのような臨場感を生み出しています。個人的には、この手法が映画全体に非常に効果的に作用していると感じました。

また、映画全体を通じて感じたのは「舞台劇っぽさ」です。映像よりも台詞や俳優の演技で物語が進行し、観客の視点が常に裁判を傍聴しているかのような体験を作り上げている点が印象的でした。

結局のところ、脚本が光る

この映画、アカデミー賞にノミネートされているということで観に行ったのですが、脚本賞を取る可能性が高いのではと感じました。特に家族の激しい争いのシーンは、リアルで感情の揺れ動きを巧みに描写しています。こうした「痛快さのない」リアリティの中にこそ、作品の本質的な良さがあるように思いました。

犬のシーンに注目

個人的に注目したいのは、盲目の息子が家族の犬に睡眠薬を与えるシーン。このシーン、息子の苦しみと孤独を象徴していますが、動物が本当に虐待されているわけではありません。この犬はなんと演技をしているのだとか!非常に賢く、演技力抜群の犬だったことに驚かされました。

まとめ

総じて『落下の解剖学』は、派手なアクションや探偵劇とは異なり、静かに進行する法廷劇として秀逸な作品です。観客を裁判の傍聴人として巻き込み、感情を揺さぶる脚本が見事で、アカデミー賞脚本賞を狙えるレベルだと思いました。

探偵物のような「真実はひとつ!」という痛快ミステリーを期待する方には少し不向きかもしれませんが、深い人間ドラマを味わいたい方にはぜひおすすめです。

傍聴人視点で物語が進むこの作品は、脚本の質が高く、脚本賞にノミネートされるだけの価値があります。観客は誰に共感するか、誰が嘘をついているのかを考えさせられます。

特に夫婦喧嘩のシーンは圧巻であり、人間ドラマとしての見どころも十分にあります。しかし、真実は最後まで明かされず、観客は終了後も考えさせられるでしょう。

この映画は、真実とは何かを問いかける作品です。法廷での証言は必ずしも真実とは限りませんし、登場人物たちの言葉の裏にはそれぞれ思惑があります。観客は、様々な情報を見極めながら、自分なりの真実を見つけることになります。

それでは、ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました!次回もまたお楽しみに!

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