#198 漫画「んば!」感想編|令和の漫画家 熱焼江うおの人間ドラマ衝撃1話はなぜ面白い?
Podcast: Play in new window | Download
Subscribe: Apple Podcasts | Amazon Music | Android | RSS | More
皆さんこんにちは。本日もよろしくお願いします。今日は、熱焼江うお先生の『んば!』について話したいと思います。
久しぶりに「これはすごい!」と思える漫画に出会いました。本当に面白かったです。
漫画単行本はこちら
基本情報
この作品は小学館から刊行されていて、作者は「熱焼江うお」(あやえ うお)先生。
名前の読み方が少し難しいですが、2022年に読切で新人賞を受賞している若手の作家です。現在、単行本は2巻まで刊行されています。
公式あらすじ
主人公は百田という24歳の青年。関東近郊の小さな警備会社に勤め、社会や規則に従って生きている、善良だけれど空虚な人物です。
ある日、社長から「牧場の外注警備に行ってほしい」と指示を受け、現場で一人の少女と出会います。その瞬間から、彼の人生は壊れ、同時に始まっていく――。
キャッチコピーとしては「奇異なるヒューマニズム」「ポップで怪異な人間賛歌」といったフレーズが使われています。
読者を裏切り続ける予測不能な展開
『んば!』は、読者の予想をことごとく裏切る展開が魅力です。物語は常にクライマックスのような緊張感で進み、ホラーやサスペンスの要素を含みつつ、深い人間ドラマを描き出しています。
例えば、牧場の害獣警備で出会うのが、猿のようでありながら人間のような存在であるという衝撃的な場面。主人公が「人を叩けない」と躊躇する中、物語は全く予想外の方向へ転がっていきます。
キャラクターと描写
キャラクターは単純な「善人/悪人」に分けられていません。それぞれが多面的に描かれていて、現実の人間のような厚みがあります。読み返すと「このキャラの行動には一貫性がある」と気づかされる場面も多く、非常にリアルです。
「キャラ漫画」ではなく、人間の複雑さや感情がそのまま作品に投影されているような印象です。
同じ波動を感じたレジェンド漫画家
雰囲気としては、いがらしみきお先生、新井英樹先生、武富健治先生らの作品に通じる“どこへ連れて行かれるのか分からない感覚”があります。
「I」「ワールドイズマイン」「ハニワット」のように、世界のルールがわかるまでの混乱と、常に先が読めないドライブ感があります。
第1話はこちらから
とにかく「次のページで何が起こるのか分からない」わくわく感がすごい。既存のジャンルや“漫画的お約束”に乗らないにも関わらず、圧倒的に面白い。これが『んば!』最大の魅力だと思います。
現在、公式サイトなどで冒頭数話を無料で読めるので、ぜひ一度試し読みしてほしい作品です。