#200 映画「ひゃくえむ」原作マンガネタバレ編:世界陸上2025が終わった今こそ見たい!100m走に人生を賭けた男たちの哲学漫画
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皆さん、こんにちは。
今日は、100m走に人生を懸けた男たちを描いた漫画 『ひゃくえむ。』 の映画化についてお話しします。
ちょうど本日、世界陸上2025が最終日を迎えました。私は陸上部出身で、少し変わった8種競技をやっていたこともあり、毎日夢中になって観戦していました。なじみのある種目が多いので、余計に楽しめたのかもしれません。いつか、私の解説付きで皆さんと一緒に世界陸上を観られたら嬉しいですね。
そんな陸上熱が高まる今、まるでタイミングを合わせたかのように公開されたのが、長沢先生原作の 『ひゃくえむ。』 です。
公開日は2025年9月19日。奇しくも『チェンソーマン』やウェス・アンダーソン監督の新作と同じ日で、映画界は“惑星直列”状態。劇場には『鬼滅の刃』『チェンソーマン』『ひゃくえむ。』が並び、豪華すぎる週末となっています。
『ひゃくえむ。』が提示する「幸福の単純化」
実は私が住んでいるフロリダでは、10月にわずか3日間だけ上映されるそうです。なぜか『チェンソーマン』ではなく『ひゃくえむ。』だけ上映されるという、少し不思議な状況。配給側に熱心なファンがいるのかもしれませんね。
予告編を見て若干不安な部分もありますが、原作ファンとしてはどうしても語らずにはいられません。
物語の基本はシンプルです。足の速い少年がライバルと出会い、競い合い、挫折し、成長していく――スポーツ漫画の王道といえます。ですが、『ひゃくえむ。』の魅力はそこに留まりません。
この作品の核心にあるのは 「幸福の単純化」 です。
誰もが幸せを望みますが、「幸福とは何か」と問われると答えに窮するもの。お金、友人、健康、時間――一般的にはこの4つが幸福の条件とされますが、それでも十分に複雑です。お金だけあっても人間関係で悩みますし、健康であっても孤独なら満たされません。
そんな中、『ひゃくえむ。』は幸福を極限まで単純化して提示しました。
「100mだけ速ければ、全部解決する」
極端な断定ですが、この言葉が放つ力強さは圧倒的です。もちろん物語は順風満帆ではなく、主人公はやがて立ち止まります。
「俺、何のために走ってるんだっけ?」
これは読者にとって、「俺は何のために生きてるんだっけ?」 という問いに直結します。
登場人物たちの「答え」
この問いに対して、登場人物それぞれが異なる答えを持っています。
- 「孤独を和らげるため」
- 「1秒でも速い記録を作りたい」
- 「1位を取りたい」
- 「わくわくする」
- 「本気になれる」
どれも正解であり、それぞれの人生哲学です。まさに『ひゃくえむ。』は、100m走を借りた哲学書といえるでしょう。
心が震える理由
この構造は、映画 『桐島、部活やめるってよ』 にも通じます。部活をやめる・やめないの話ではなく、「神なき世界でどう生きるべきか」を描いた作品でした。最終的に「楽しいからやる」という答えが提示されますが、『ひゃくえむ。』も同様に、ただ速く走る話を超えて「生きる意味」を問いかけます。
なぜ私たちの心が震えるのか――それは、普遍的なテーマがそこにあるからです。
まとめ
『ひゃくえむ。』は全4巻で完結済み。短くも濃密で、読む人の人生観に触れてくる作品です。世界陸上で陸上に興味を持った今こそ、この作品を観る絶好のタイミングだと思います。
表面的には100m走の物語ですが、その奥に潜む普遍的な問いに気づいたとき、きっと心が震えるはずです。ぜひ、多くの人に触れてもらいたい作品です。
今回は久々に熱を込めて語ってしまいました。もし「面白そうだ」と思っていただけたなら、ぜひチャンネル登録で応援していただけると嬉しいです。