#129 マンガ「神引きのモナーク」感想編:「ニセモノの錬金術師」と同じ杉浦次郎作品とその他の異世界なろう系漫画との違いとは?ファースト博士はファウストか?!
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こんにちは、皆さん!今日は杉浦次郎先生の作品「神引きのモナーク」について語っていきます。実はこの作品、まだあまり知られていないのですが、個人的にはかなりおすすめです。
さて、皆さんは「神引きのモナーク」をご存じでしょうか?恐らくまだ多くの人がこの作品に気づいていないかもしれませんが、ぜひ注目していただきたい作品です。
私自身は、知り合いに「面白いよ」と勧められてこの作品に出会いました。
杉浦次郎先生といえば、彼の前作「ニセモノの錬金術師」を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、「神引きのモナーク」も同じく魅力的です。特に、異世界転生系の作品が好きな方なら、ぜひ読んでいただきたいです。
**追記:2026年からサンデーうぇぶり版が配信されました。
| 項目 | 杉浦次郎版(原作webコミック) | サンデーうぇぶり版(コミカライズ) |
|---|---|---|
| 作者 | 杉浦次郎(作・画) | 原作:杉浦次郎/作画:オキウミレイ |
| 掲載 | ニコニコ漫画・pixiv | サンデーうぇぶり |
| 連載開始 | 2023年6月 | 2026年4月 |
| 備考 | Kindleで単行本化 | 第1話「異世界とガチャ」から |
目次
「ガチャでチート」を真に受けると損をする
作品紹介をすると、十秒で終わります。「ソシャゲのガチャのようなチート能力を持った主人公が、異世界にやってきて、頑張るお話です」。これが公式の説明文です。
正直に言うと、これだけ読むと、そんなにそそられないです。安直な異世界転生ものが面白くないと言いたいわけじゃないんですが、擦られに擦られたネタなんじゃないか?見たことのあるものがまた目の前に出てくるんじゃないか?そう身構えさせる紹介文です。
チートでガチャを引いて便利アイテムを当てて無双する、いわゆる小説家になろう系のテンプレ。第一印象としては、まあ、そう思われても仕方がない。
でも、聞いてほしいんです。ここからは無理やり二軸でいきます。普通のなろう系と、「神引きのモナーク」。
普通のなろう系にあって「神引きのモナーク」にないもの、あるいはその反対。そこに、この漫画の面白さが全部詰まっています。

普通のなろう系との違い
まず、「神引きのモナーク」の最大の特徴は、登場人物たちの知的水準が非常に高いという点です。
テンプレ的ななろう系では、主人公が無双するために周囲のキャラクターの知能が低く設定されていることが多いですが、この作品ではそれがありません。
登場人物たちは皆、しっかりと考え、行動します。そのため、物語全体にリアリティが生まれ、キャラクターに感情移入しやすくなっています。
また、異世界転生ものでは「なぜか主人公に無条件で惚れる美女キャラ」が定番ですが、「神引きのモナーク」ではそのようなご都合主義的な展開はありません。
もし誰かが主人公に好意を持つ場合にも、きちんとした理由が描かれており、物語に深みを与えています。この点も、杉浦先生の作品の魅力の一つです。
まず一点目。テンプレ的ななろう系にあって、この作品にないもの。それは「登場人物たちの知的水準が非常に高い」です。
異世界転生あるあるの「俺、なにかやっちゃいました?」。あれが、自分を上げるのではなく、周りを下げることで相対的に優位に立つ構造。
敵がアホだから主人公が賢く見える。でも知能を下げすぎると、その登場人物はもう人間に見えてこない。ただのキャラになってしまう。あまりに自分とかけ離れた存在には、人は感情移入できないんです。
「神引きのモナーク」は、出てくる人が基本的に賢い。賢いと言うと言い過ぎかもしれないけれど、みんな同じくらいの知的水準で、なんならちょっと賢い。誰もナメプをしない。全力を出してくる。だからちゃんと人間に見えるし、実在感がある。
一つひとつの能力にしても、こっちは初見の一見さんなのに、登場人物のほうが自分の能力についてよっぽど深く考えている。自分の人生がかかっているんだから、当然です。そのリアリティが効いている。
都合の良すぎるヒロイン問題
二点目は、都合の良すぎるヒロイン問題。なぜか自分を無条件で好きになってくれる美女たちです。これも「神引きのモナーク」にはありません。
仮に誰かが主人公を好きになるとしても、ちゃんとそこにロジックがある。理由もなく、都合よく好かれたりしない。ここでもやっぱりキャラじゃなくて、人として実在している感じがするんです。
仮面の女の子のエピソードがよくて、恋愛なのか友愛なのかは分からないけれど、あれはよかった。仮面をつけていると周りに認識されない、覚えてもらえない、そういう設定の子です。
ただ、ここまでの二つは、あくまでマイナス要素を排除しただけ、とも言えます。「テンプレにありがちな興醒めポイントがない」というだけ。じゃあ逆に、プラスとして面白いところはどこか解説します。
世界観と設定とバトルシーンの緻密さ
「神引きのモナーク」はその世界観や能力の設定が非常に細かく描かれている点が魅力です。
自分達がまだ知らないルールが、世界の側にすでに用意されている。それを少しずつ知っていく楽しさがある。
バトルの質感は『呪術廻戦』、それから『ジョジョ』に近い。能力バトルになったときの、能力という土俵の上で戦う感じ。戦いが現場で起こるんじゃなくて、戦う前に起こるんです。戦術ではなく、その手前の戦略で勝負がつく。
『神引きのモナーク』と『ニセモノの錬金術師』に共通するのが、設定の細かさです。HUNTER×HUNTERやジョジョの奇妙な冒険など、能力バトルが魅力の作品にも通じるところがあります。
能力の条件、世界観の理屈を、かなり丁寧に描写する。しかも、ただ説明するだけじゃない。「試しにやってみよう」「これはどういう条件で発動するのか」「この条件のときはどう挙動するのか、確認してみよう」と、ほとんどプログラミングみたいに検証していくんです。
そのうえで、より深く世界の原理原則を理解したほうが勝つ。手前でぐっと溜め込んで、いざバトル。その溜めの部分の面白さが、作品の大きなウエイトを占めている気がします。より準備した方が勝つ感じが現実っぽくて好きです。
ラフ画なのに朝まで読んじゃう面白さ
作画には、ワンピース味を感じました。実際ベラミー戦をオマージュした感じの描写もあります。
ここで正直に言っておくと、杉浦次郎先生自身が描いているこの原作版は、まだほぼラフ画のような状態で公開されているんです。本当に棒人間みたいなコマもあれば、それなりに書き込まれたコマもある。ひどいときには矢印で「ここはこうなってる」と注釈が入っていたりして、まるで絵コンテです。
でも逆に言えば、絵コンテでこれだけ面白いって、すごいです。結局、全部読んでしまう。僕は一晩で読みました。深夜一時に読み始めて、終わったのが朝五時。早起きしなきゃと思いながら、結局そのあと十一時まで寝る羽目になりました(笑)
衝撃度でいえば、近いのは『ワンパンマン』かもしれません。あれもONE先生の原作を、『アイシールド21』の村田雄介先生が描き直して、商業漫画になって、アニメ化までされました。
たぶん『神引きのモナーク』も、同じような道をそのまま辿りそうな気配があります。(**追記:2026年4月からはサンデーうぇぶりで、作画・オキウミレイ先生によるコミカライズの連載が始まりました)
杉浦先生自身が描く原作のラフ版は、今もAmazonのKindleなどで読めます。今のうちに追いかけておけば、「これ、来るよ」とドヤ顔できるタイミングです。
モブキャラがモブじゃない!
不思議なもので、ひどいコマがあっても、読んでいるとまったく気にならないんです。読み終わってから「そういえばひどいコマあったっけ?」となるくらい。面白さで脳内が勝手に補完してくれている。
個人的にいちばん好きなのは、最初はモブっぽかったキャラが、どんどんキャラ味を帯びてくるところです。特に何のキャラ付けもなく出てきたモブ村人が、物語が進むにつれて、いろんな要素を背負って立ち上がってくる。ガチャで人が出てくるという設定そのものにも噛み合っていて、これがたまらない。
『進撃の巨人』のユミルみたいなものです。最初は名前も顔も「なんかいたな」くらいだったのに、あとから「こいつ、重要人物になっとるやんけ」となる。あの展開が好きなんです。
リアリティの面でも、ただのモブが一人もいない。みんな精一杯生きている、という感じがします。
続きが欲しくなったら「ニセモノの錬金術師」へ
難点を挙げるなら、続きが欲しくなることです。Kindleのラフ版は今のところ六巻ほど。それでも、いいところで切れて「その次は? もうないの?」となる、なかなかの苦痛があります。
そういう人は、「ニセモノの錬金術師」を読んでみてください。「ニセモノの錬金術師」は第一部がきっちり完結しています。細かい描写が多いぶん、ゆっくり丁寧に読んでもいいし、一度バーッと最後まで通読してから、二周目、三周目を楽しむのもいい。それくらいの情報量があるんです。読みながら、またすごい先生が現れたな、と唸らされました。
杉浦次郎先生は、ほかにも作品があります。『僕の妻は感情がない』はKADOKAWA(角川)から既刊八巻で、二〇二四年にはアニメ化もされました。
『ニセモノの錬金術師』のほうは、商業版がカドコミ(旧コミックウォーカー)で読めて、無料で公開されている話もあります。作画が全然違って読みやすいので、『ニセモノの錬金術師』に関しては商業版のほうがおすすめです。
とはいえ、杉浦先生本人が描くラフ版のほうも僕は追いかけていて、これがまた楽しい。ONE先生に『ワンパンマン』のほかに『モブサイコ100』や『バーサス』があるのと同じで、気づけば次々と作品が出てくる。完全に原作者のポジションです。
「ファースト博士」はファウストなのか
最後に、ちょっとした考察を。第一巻のタイトルが「ファースト博士」なんですが、これは「ファウスト」なんじゃないか」と思っています。
ファウストというのは、悪魔メフィストフェレスに魂を売る物語です。水木しげる先生の『悪魔くん』にも出てくる、人間をたぶらかす悪魔のポジション。自分では何もせず、唆して人を動かす存在ですね。「君の夢を叶えてあげよう」と近づいて、最後に「では、いただいていきます」と命を、魂を回収していく。
宮崎駿監督の『風立ちぬ』で主人公の前に現れるカプローニのお兄さんポジション、と言えば伝わるでしょうか。あれもある種、主人公をたぶらかしている。テンプレといえばテンプレなんです。
だとすると、『神引き』でも、ファースト先生は最後に強大な敵になるのか。それは、分からない。能力は使う人次第ですから。表向きは「いちばん最初に出てくるからファースト=1」という意味でしょう。でも、もしかしたら、メフィストフェレスやファウスト的なニュアンスを忍ばせたダブルミーニングなのかもしれない。そう考えると、なかなか鋭いネーミングです。
まとめ
「神引きのモナーク」は、一見するとよくある異世界転生ものに思えるかもしれませんが、その奥深い設定や登場人物の知的な描写、緻密なバトルシーンが他のなろう系作品とは一線を画しています。
異世界転生ものに飽きてしまった方でも、この作品は新鮮な驚きを提供してくれるはずです。杉浦次郎先生の「ニセモノの錬金術師」が好きな方は、ぜひ「神引きのモナーク」もチェックしてみてください!









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