#223【先行レビュー】映画「ディスクロージャー・デイ」ネタバレ感想編:スピルバーグ監督最新作は「2026年に観る90年代映画」だった
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スピルバーグ監督最新作「ディスクロージャー・デイ」を、日本より一足先に北米で見てきました。
日本公開はどうやら10月まで延びるらしいですが、良いところと微妙だったところを、正直に話しておこうと思います!
ネタバレも一部入るので、その点注意です。
トップ15まで、たぶん全部見てる
本題に入る前に、スピルバーグ監督作の世界興行ランキングを作ってきました。トップ20です。
| 順位 | 作品(公開年) | 世界興収(ドル) |
|---|---|---|
| 1 | ジュラシック・パーク (1993) | 11億983万 |
| 2 | E.T. (1982) | 7億9,700万 |
| 3 | インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 (2008) | 7億8,664万 |
| 4 | ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク (1997) | 6億1,864万 |
| 5 | レディ・プレイヤー1 (2018) | 6億780万 |
| 6 | 宇宙戦争 (2005) | 6億387万 |
| 7 | プライベート・ライアン (1998) | 4億8,235万 |
| 8 | ジョーズ (1975) | 4億7,700万 |
| 9 | インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 (1989) | 4億7,417万 |
| 10 | レイダース/失われたアーク (1981) | 3億9,013万 |
| 11 | タンタンの冒険 (2011) | 3億7,400万 |
| 12 | マイノリティ・リポート (2002) | 3億5,837万 |
| 13 | キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) | 3億5,200万 |
| 14 | インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 (1984) | 3億3,300万 |
| 15 | シンドラーのリスト (1993) | 3億2,200万 |
| 16 | 未知との遭遇 (1977) | 3億600万 |
| 17 | フック (1991) | 3億85万 |
| 18 | リンカーン (2012) | 2億7,500万 |
| 19 | ディスクロージャー・デイ (2026) | 2億3,980万 |
| 20 | A.I. (2001) | 2億3,593万 |
※2026年8月3日時点、名目値(物価調整なし)。
「ディスクロージャー・デイ」は19位あたり。まだ公開が始まったばかりなので、この位置。上のほうには、もうレジェンド級がずらっと並んでいます。
眺めていて気づくのは、知らない作品が一本もないことです。仮に見ていなくても、タイトルは聞いたことがある。個人的な感覚だと、トップ15までは全部見ていました。確かに見てるわ、と自分でも思う。すごいスピードで、気づかないうちに作品に触れて、いつのまにか知っている。そういう監督です。
そして今回の一本は、たぶんトップ15には入らないだろうな、という空気。そのあたりの話を、ここからしていきます。
根本は、何も変わっていなかった
まず良かったところから。スピルバーグ監督、根本がまったく変わっていないんです。
僕の中でスピルバーグって、子供向けの分かりやすいエンタメと、大人向けのビターなやつを、交互に出しているイメージがあります。今回はどちらかというとビター寄り。シリアスで、社会派と言ってもいい手触りです。
それでも、根っこにあるものは同じでした。宇宙に対する憧れ。未知なるものへ向かうときの、あのワクワクと高揚感。そこは一ミリも変わっていない。見ながら、確かにこれはスピルバーグ作品だ!と思いました。

みんなが頭に浮かべた宇宙人が出てくる
じゃあ何がダメだったか。宇宙人です。宇宙人像が、変わっていない。
ひとつ試してほしいことがあります。今、宇宙人を頭の中に思い浮かべてください。色は何色でしたか。たぶんグレイですよね。目は大きくて、全部が黒目。手と足はひょろっと細くて、頭でっかい。
ここから、そこそこネタバレになります。覚悟はいいですか。
その、今あなたが思い浮かべたやつが、まんま出てきます。みんなの頭の中にいる、あいつ。あいつがはっきり、そのまんま出てくるんです。
でも、あのグレイ型って、もうこすられすぎて、半分ギャグになっていないですか。たとえば貞子。あんなに怖かったのに、今や始球式のマウンドに立って、球場の何万人に見つめられるくらいメジャーになっている。なんなら子供が笑っている。あれと同じ現象だと思うんですよ。
宇宙人ですって出てきたとき、コントの文脈なら許される。むしろおいしい。でも、それをシリアスな空気の中でやられると、えっ、とわずかに引っかかる。その違和感が、この映画がいまいち乗り切れていない理由じゃないかと見ています。
だからここは、まるごと両面あるんです。「スピルバーグ、変わってないね」と感動する見方もあれば、「さすがにアップデートできてないんじゃない?」とがっかりする見方もある。同じ一点が、賞賛にも失望にもなる。
2026年に、90年代の映画を見ている
面白そうだと思って、プロモーションを読んで楽しみにしていた人も多いはずです。実際、面白い部分もちゃんとあります。
ただ、すごく真面目に、シリアスに作ってあるんですけど、良くも悪くも昔から限界が変わっていない。ひねらない。すごくストレートなんです。
2026年に見ているはずなのに、90年代の映画を見ている感覚が、ずっとありました。なぜか懐かしくて、泣きそうになる。この後こうなるよね、ああ、やっぱりそうなった。このカット割り、90年代っぽいな。そういうリズムと展開を、最新の映像でやっている。懐かしい、と素直に浸れるかどうか。ここでも評価は割れると思います。

「開示するぞ!」で...
ラストについても、決定的なところは伏せつつ、少しぼかしながら話します。
予告編に、エミリー・ブラントが変な声を出すシーンがありましたよね。あそこは普通に面白い。全体のストーリーも、まあまあ楽しめました。
問題はタイトルです。「ディスクロージャー・デイ」なんだから、当然ディスクロージャーしてくれるはずじゃないですか。ディスクロージャーは、情報開示とか、暴露。クローズが「閉じる」なら、その反対で、閉じていたものを開く。開示の日、と銘打っている以上、この映画の中で、いよいよ何かがディスクローズされるはずなんです。
そして最後、主人公と例のグレイが出会って、やりとりがあって、じゃあ開示しますね、という流れになる。
「開示しますよ。いいですか、皆さん、開示しますよ!!!」
……で、終わるんです。
雰囲気はこの通りではないにせよ、空気としてはそんな感じ。世界中の人がモニターの前に集まって、渋谷のスクランブル交差点みたいな場所でみんなが見上げて、ついに開示されるぞ、と固唾をのむ。その一番いいところで、幕。
期待していたものが、出てこない。そこが乗り切れなかった、いちばんの理由だと思います。

点数をつけるなら6:4でも楽しかった
これはあくまで一個人が見た感想です。昔から変わらないねとポジティブに受け取るのか、アップデートできていないんじゃないかと突っ込むのか。そこは見た人それぞれでいい。
僕自身は、点数をつけるなら五分五分かなと思っていたんですけど、見終えてみたら、普通に楽しかった。90年代の映画を最新の映像で浴びている、あの感じ。正直、それが楽しかったんです。
残念ながら、日本ではたぶん流行らないと思います。そんなのあったんだ、と、さらっと流されて終わる気がする。ただ、スピルバーグファンなら見てもいい。この監督にお世話になってきた人なら、見て損はない。
おすすめの見方は、あまり期待値を上げずに行くのがオススメです!

