#55 現役デザイナーが「左利きのエレン」を読んだら

月刊テックニュース7月号をご覧いただきありがとうございます。今回は、現役デザイナーの河合さんをお迎えして「左利きのエレン」を読んだ感想をお話ししていきたいと思います。

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イントロダクション

「左利きのエレン」は、日本の漫画家かっぴーによる作品で、大手広告代理店を舞台にした群像劇です。

主人公の朝倉晃一は駆け出しのデザイナーで、有名になることを夢見てがむしゃらに働いています。

しかし、3億円のキャンペーンのデザインを担当するものの、プレゼンで勝利した後にプロジェクトから外されるという挫折を経験します。

作品のキャッチコピーは「天才になれなかった全ての人へ」。このフレーズが心に刺さる方も多いのではないでしょうか。

現役デザイナーの第1話の感想

今回は、第1話を読んだ河合さんの感想を中心にお話を進めていきます。

「億単位の仕事のプレッシャーは経験がないですが、大手広告代理店の階層構造や急な修正対応は非常にリアルに感じました。フリーランスとして全ての工程を一人でこなしている私にとって、大規模なプロジェクトの裏側が見えるのは興味深かったです。」

デザイン業界の現実

「左利きのエレン」に描かれる広告代理店の階層構造では、クリエイティブディレクター(CD)、アートディレクター(AD)、デザイナーといった役割が存在します。河合さんはフリーランスとして全ての役割を一人で担っていますが、この構造について次のように語ります。

「大手代理店の仕事は確かにスケールが大きいですが、その分、関係者が多く、調整が大変です。一方、フリーランスは自分の裁量が大きく、クライアントと直接やり取りできるメリットがあります。」

デザインとアートの違い

「左利きのエレン」では、デザインとアートの違いについても触れられています。主人公の朝倉晃一はデザイン寄りの人間で、エレンはアート寄りの人間。この二つの対立が作品の軸となっています。

河合さんは次のように述べています。

「デザインは目的があって、その目的を達成するために作り上げていくものです。一方、アートは表現そのものが目的。リンゴの絵を描いたとき、デザインでは誰もがリンゴだと認識する必要がありますが、アートでは見る人によってライオンや車に見えても良いのです。」

デザインの現場

「デザインの現場では、クライアントとのコミュニケーションが重要です。代理店を通じての仕事は、ワンクッション置かれる分、直接的な意向が伝わりにくいことがあります。その点、フリーランスはクライアントの意向を直接聞けるので、修正が少なく効率的です。」

大手とフリーランスの違い

「大手に入れば大きな案件に携われる一方、フリーランスは自分の裁量で仕事をコントロールできます。名誉心を満たすために大手を選ぶか、自分のペースで仕事を進めるためにフリーランスを選ぶかは個人の価値観次第です。」

まとめ

「左利きのエレン」は、デザイン業界のリアルな現実を描いた作品であり、特にデザイナーとして働く人々にとって共感できる部分が多いです。大手広告代理店の華やかさや挫折、デザインとアートの違いなど、さまざまな視点から楽しめる作品です。

今後も「左利きのエレン」を通じて、デザイン業界の現実やデザイナーとしての在り方について考えていきたいと思います。

それでは、次回の更新をお楽しみに。

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